こどもが自分で食べることばがけ

栄養士のおしごと

私は栄養士として0歳~5歳までのこどもの福祉施設で働いています。栄養士としては珍しいですが、子どもたちの食事介助を毎日しています。

食べることが苦手、好き嫌いがある子どもたちとたくさん出会ってきました。

今でもどうやったら楽しくたべられるかな?と試行錯誤をしている毎日ですが、

その中でもうまくいった言葉がけがあるので、ご紹介します。

今回の記事は

・こどもと一緒に食事することが苦手

・こどもの好き嫌いが多くストレスを抱える

・たのしい食事時間にしたい

といった方に向けています。

「なめてみる?」「ちゅッってしてみる?」

ピーマンやほうれん草などの緑物は見た目から苦手というこどもたちが多いです。

そこで、まずは口に入れる前に、”どんな食べ物か知ってもらう”ことを意識しています。

舐めることや、ちゅッとするのは、行儀が悪いようですが、

そして、このちょっと行儀が悪い特別感がこどもたちにはちょっと嬉しいようで、

食べ物に興味をもってもらえるきっかけにもなります。

案の定、食べてはくれない日々を過ごすのですが、他のこどもたちが食べてみたり、

介助する大人の食べる姿をみて、ある日突然食べることがあります。

「かばさんの口でやってみる?」

「かばさんの口でできる?」とおねがいすると、「カバサンノクチ」と大きな口を開けてパクっとたべてくれることがあります。

他にも「新幹線入りまーす!」「アンパンでいきまーす」と言ってスプーンを子どもの口に持っていくと、食べてくれることもあります。

あんぱんまんや他のキャラクターや電車のなどのこどもたちの好きなものの力を借りることもしています。

「○○君見とこーー!」

大人が手で眼鏡を作って、「○○君のかばの口みたいなー」「食べれるとこみとこー!」と、こどもたちに応援のメッセージを伝えます。

こどもたちは、大人からの応援や見守りを受けると、嬉しさや安心感で大きなエネルギー源となります。誰かが自分を見てくれている、応援してくれているという実感が、苦手な食べ物に挑戦したり、初めてのことに取り組む勇気につながるのでは、思います。

あまり、頑張れ!と言いすぎるとプレッシャーになるとかえってよくないので、使いどころを気を付ける言葉でもあるかなと、思います。

「○○と同じだよ~」

食べ物の見た目で苦手と思ってしまうことが多いので、同じ食材でも料理の仕方によって食べれないといったときは、「○○と同じだよ」というと、たべれることがあります。

例えば、から揚げは食べることができるが、筑前煮の鶏肉は苦手なときは、から揚げと同じお肉だよ~と、と伝えています。

「○○君、これ食べたら早く走れる」「怪我がはやく治るよ!」

「人参食べたら早く走れるんだよ~」や、「いっぱい遊ぶためには牛乳も飲んでおこ~!」と食べたら良いことがある、というイメージを伝えるようにしています。

反対に、「食べれなかったら遊びにいけないよ!」と不安感をもつような言葉は、言わないようにしています。

こどもの苦手を聞く

こどもたちは正直なので、「○○ちゃんコレ嫌い」食べる前から、伝えてくれます。

本当は一生懸命作った料理を「きらい」「苦手」と、聞くのは良い気分ではないのですが、、

「なにが苦手?」「どれが苦手?」とまずは聞いてみることにしています。

まずは、「苦手」と伝えてくれたことが、信頼関係を築ける一歩目だと思っています。

こどもたちに、盛り付けのお手伝いを頼んで好きな量で盛り付けることや、大人が少なく盛り付けて、「これくらいでいい?」と聞いてみたり、子ども自身が自分で決めることを、大事にしています。

こんなことがありました。炒め物の中の椎茸が嫌いと、こどもが言ってくると、お皿の中で「大きい椎茸」と「小さい椎茸」を探して、こどもにどっちを食べる?と聞くと、「小さい方」という答えが、本当に「小さい椎茸」食べることができたのです。

mog
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「自分で決めることは」大きなパワーになるんだな〜と、思うエピソードでした。

私の反省

こどもたちと一緒に食事の介助をする時は、「介助することに」に一生懸命になりがちで、「たべてほし~~~い」という大人の念?みたいなのが、伝わってしまうと、逆効果でした。

こどもの困り事には手伝うのですが、少しその場から離れてみる、のも良いのかもしれません。台ふきんしぼってきます~、お茶入れます〜、と言って、その場を離れると、シレっと食べてたりするんですよね。

「助けるべきこと」「手伝いすぎないこと」今でも見極めは大切だなと、思います。

保護者の方によく聞かれること

「苦手なものは食卓には出さなくてよいですか?」

答えは「いいえ」

こども頃、大人が飲んでいたコーヒーに興味を持ちませんでしたか?

こどもには「新奇性の恐怖」と言って、新しいものを怖がる性質をもっていますが、だんだんと慣れてくると、恐怖心も和らいできます。そして、新しいもの、苦手なものも、家族の人がおいしそうに、食べていたら興味がわいてくるものです。

苦手なものや、初めてのものを、食べなくても、まずは知ってもらう、慣れてもらう、興味をもってもらう機会になるので、食卓に並べた方がよいとお伝えしています。

食べた後は

一口頑張ってみる!と食べて本当に小さいヒトカケを、食べてくれる瞬間があります。

「食べれたね!」「噛めたね!」と「出来たこと」を一緒に喜ぶようにしています。

大人は欲張りで、よくもう一回いけるんじゃない?と、さらに期待をしてしまいます。例えるなら、激務の末ようやく終えた仕事。まだまだ、がんばれ。と言ってるのと同じだと、教えてもらったことがあるので、こどもの健闘を称えて、「もう1口」はいわないールをしています。

さいごに

いろんな言葉を使って、努力するんですが、思いが強すぎたり、意地になったりするうちは全く食べてくれなくて、あー、、どうしようか。とへとへとになる日もあったり。と思えば仕事場で栽培している、ミニトマトやキュウリは、その場でかじっていたり、おいしいと言って食べたり。

やっぱりね。こどもがおいしそうに食べてる姿ってかわいいし、癒される。

日頃の食事介助でも子どもたちの食べるときの「困りごと」に寄り添いながら、勇気づけしながら、日々食事の介助をしています。

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